防災カードゲームは、『どこでも、誰でも、すぐ出来る、非常に効果的な防災学習ツール』です。市民フォーラムおおさかでは、より多くの皆さんが少しでも防災や減災について、気軽に体験できる機会になることを期待して、この学習会を企画しました。
第1回目は『避難所運営ゲーム HUG(ハグ)』を使っての学習会を行いました。
講師経験のある人から初心者の人まで、いろいろな方にご参加いただきました |
『避難所運営ゲームHUG(ハグ)』は、地震災害による避難所の開設を想定し、避難者の年齢・性別・国籍や、それぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所となる体育館や教室に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームです。
避難者カードを体育館に配置します |
みるみるうちにカードが埋まっていきます |
今回の勉強会では 3人の方が初めてHUGを体験されました |
よく考えてもらうため 通常よりはゆっくりめで進行しました |
《勉強会のまとめ》
ゲーム後、皆さんからの感想やご意見をいただき、避難所運営ゲームHUGを行う上で、考慮すべき点をまとめてみました。
①『とりあえずHUG』はダメ! 学習の目標を明確にする』
大変優れた教材なので、『とりあえずHG』という感覚で行っても、『なんとなく避難所運営は大変だな』と理解することはできますが、それだけでは、今後の防災・減災への活動に活かしていくことはできません。単なる遊びに終わらせないためにも、『誰のために、何のためにHUGを行うのか』を参加者に合わせて明確にすることが大切です。
ex)小・中学生なら『避難所において、自分たちにもできることは何か?』
地域住民なら『学校側の事情等と避難者が抱えている特性を考慮できるか?』等
②『事前のゲーム説明をなおざりにしない』
時間に余裕がない場合など、ゲーム説明に時間がさけず、参加者が理解できないままゲーム進行してしまいがちになります。使用するカードの種類や、配置の仕方、事態についてのコンセンサス(意見の総意)を行うことなど、ゲーム進行についてはできる限り、詳しく説明する必要があります。
③『カード1枚をひとりの避難者人格として取り扱うこと』
想像力をふくらませ、本当に辛い思いをして避難してきた人に対応するという気持ちで、カードを配置していくことが大切です。避難者に対する思いやる気持ちがカード配置に表れます。
④『みんなでいろいろな意見を出し合い 共有すること』
ゲームにおいて、参加者によっては全く正反対のコンセンサス(意見の総意)が行われることもあります。どちらの判断が正解か、ということが重要ではなく、参加者が様々な意見を出し合い 共有することで、実際の災害時により良い対応ができるようにすることが重要です。
⑤『常にカードの新鮮さを問う』
避難所運営ゲームHUGがつくられたのが8年前の2007年です。当時とは避難所の在り方や対応も変化しています。カードの内容についても、吟味していく必要があるかもしれません。
最後になりますが、避難所運営ゲームHUGはあくまでもゲームです。そこから得た知識が実際の避難所運営に必ず役立つものかは分かりません。ただ、参加者が楽しみながら意見を出し合うことで、避難所運営に求められる課題を自ら発見し、『災害への備え』の意識を高め合うことができるのではないでしょうか。
ゲーム後はお互いの意見や思いを共有しました |