社会福祉法人大阪市社会福祉協議会・大阪市ボランティア・市民活動センターのスタッフブログです。




2015年12月25日金曜日

【市民フォーラムおおさか】防災学習24時間(避難所一泊体験)を開催しました!

 「たとえ災害が起こっても、自分だけは大丈夫だ!」と、根拠のない思い込みに、皆さんも陥ったりはしていないでしょうか?そのために、危機的な場面に直面しても正しい行動が取れず、命を落としてしまうことさえあるかもしれません。

そこで、市民フォーラムおおさか(事務局:大阪市ボランティア・市民活動センター)では、自分だけでなく、周りの人々の命を守るためにも、「いざという時の行動」について考える機会として、『防災学習24時間』を11月21日(土)・22日(日)に開催しました。(場所:大阪市社会福祉研修・情報センター) 

 一般に、『避難所』というと、どういった場所を想像されるでしょうか?。なかには実際に、被災地でボランティアを経験したことがある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、多くの方はテレビや新聞などで見聞きする 「どこか自分とは無関係な場所」というような認識をお持ちではないでしょうか。

誰も自分が被災して、命を落としたり、避難所での苦しい生活を送らねばならない、という風に想像するなんて嫌なことでしょう。しかし、いつ自分がこのような境遇に陥るか、誰も予想はできません。そんな想像したくもない「その時」のために、我々は学ぶ必要があるのではないでしょうか。

今回は総勢25人が集まりました
3年連続でご参加された方もおられます


~~プログラム紹介~~


《防災まち歩き》 ~災害発生時を想定して まちを歩いてみましょう~

本来の『防災まち歩き』は、「自分の地域の掘り起こし」を行うのが目的です。今回は、いろいろな地域からご参加いただいておりますので、設定としては、「たまたま出かけた大阪市社会福祉研修・情報センター(西成区)にて、大きな地震に遭遇した」という想定で、グループ単位で「まち歩き」をしていただきました。

《まち歩きの設定》
・あと30分で津波が大阪市内に到達すると仮定して、30分の間で身の安全を図れる
  場所まで避難すること
・地震の被害を想定して、まちの景色を想像しながら歩くこと
・帰りは、行きに通ったルートとは違うルートで、戻ってくること 
  その際、道中にある危険な場所やモノ、役立つもの、気になるものをチェックする

限られた時間でどれ位移動できるでしょうか?
土地勘のない所で、どこへ避難すれば…
津波避難ビルに指定されている市営住宅
3階以上に避難しなければいけません!
時間帯により入場できない津波避難ビルも…
津波の場合は西の高台を目指して避難!
津波が来ますが この避難所で大丈夫?
逃げる方向が指示されていない場合も…

★『防災まち歩き』の意義とは?
 ①自分たちの住む地域を、あらためて注意深く歩くことで、普段では気づきにくい
   「地域の良いところ 悪いところ」を見つけ、知ることができる
 ②地域の危険箇所や防災設備、避難場所や経路、災害史跡等を探すことで、
  「災害は決して他人事ではなく 自分たちにも起こりうる」と、認識できる

防災・減災意識の向上を図り,日頃からの備えや いざという時の行動につなげる

《居住スペースづくり》

災害被害の状況によっては、長期間におよぶことも考えられる避難所での生活。老若男女、それぞれ、事情を持った人が集まって来るでしょう。誰もが、少しでも安心して過ごせる避難所の居住スペースを作るにはどうすればいいのでしょうか?

 今回は、会場のスペースの関係で、あまり大きな住居スペースは作ることができませんでしたが、「ダンボールベット」の組み立てと、ダンボール板を使っての部屋づくりを行いました。

1m×1mのダンボールを組み合わせます

卍型に組み立てると4区画できます

次に段ボールベットを組み立てます
まず小さな箱を12個 組んでいきます
ベットの形の枠の中にはめ込みます
上にシートを敷けばベットの出来上がり!
★居住スペースづくりのポイント
 ・みんなが移動しやすいよう、通路を確保する(車いすでも十分通れる幅)
 ・最低限のプライバシーが確保できるよう、間仕切りなどを立てる
 ・掲示板を活用するなど、情報共有を心がける
 ・要配慮者(高齢者・障がい者・妊産婦など)には優先的にスペースを確保する


《災害時の食事づくり》


皆さんは、災害時に備えて、普段から水や食料などを備蓄されていますか?現在、一般的には、「1週間分の食料備蓄が必要」であるといわれています。しかし、実際問題として、家族の人数×7日分の食料などを備蓄しておくというのは、保管場所の問題や賞味期限切れなど、結構手間のかかることではないでしょうか?そこで、最近、推奨されているのが、「ローリングストック法」という手法です。

ローリング(回転)+ストック(備蓄)=ローリングストック(回転させながら、備蓄しておく)

ローリングストック法とは、比較的保存がきく日用食料品を備蓄品として保存していき、それを定期的(1ケ月に1,2度)に食べて、食べた分を買い足し、備蓄していく方法です。食べながら備蓄するため、消費期限が短いレトルト食品なども非常食として活用できます。

今回は、市販されている非常食は使用せず、ローリングストックできる缶詰や加工食品、乾物などを使用して作ることできる食事メニューを、参加者全員で調理しました。また、食器も用意できないことを想定して、新聞紙とラップを使っての「簡単食器づくり」も行いました。

☆夕食のメニュー:「さば缶のカレーライス」と「切り干し大根のサラダ」
 
まず新聞紙で自分用の食器を作りました
器がないと食べられませんので、みんな真剣です!
 常温保存のきく野菜(人参・たまねぎ)を使う

みじん切りにすることで早く火が通ります



トマト缶とさば缶を入れて煮立たせます
最後にカレールーを入れて出来上がり!
切干し大根サラダの材料です

味付けはマヨネーズとドレッシングで


ビニール袋に無洗米と水を入れ、しばります
お湯で20分ほど炊くと、ご飯の出来上がり
ちなみに翌日(11/22)の朝食のメニューは、ビニール袋で炊いたご飯と、玉ねぎのみそ汁、切干大根の和え物、マカロニサラダ(2種類)でした。皆さんコツを掴んだのでしょうか、昨日よりも、上手くご飯が炊けて、とても美味しかったです。

手際がよくなって調理もスムーズに
もし毎日、何百食も作るとなったら大変!!

《防災クイズ大会》

今回、初めての試みでしたが、参加者の皆さんには「防災クイズ」に挑戦いただきました。「知っていてためになる」防災知識から、「こんな事知っていなくても・・・」という少々マニアックな問題まで、選りすぐりの全40問をご用意しました。
さて、何問 正解できるでしょうか?!

クイズはお子さんでも楽しみながら防災知識を学ぶことができます

それでは皆さん、こちらの問題ですが、お分かりになりますか?ちょっと考えてみてください。


 問 題1 
 災害時、避難場所や災害に関する情報を、何で確認するのが一番よいでしょうか?
    ①テレビ  ②防災無線  ③ラジオ  ④スマートフォン


 問 題2 
 あなたが外にいる時に大地震が発生した場合、一番正しい避難場所は?
    ①コンビニ   ②ガソリンスタンド   ③交番   ④お寺


 問 題3 
 育児用のミルクが無い時、代わりになるものはどれでしょうか?
    ①牛乳  ②塩水  ③砂糖水  ④スポーツドリンク


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 問題の答え


 問 題1   正 解:(ラジオ)
これは基本的な問題ですね。でも実際、普段からラジオを持ち歩く人って、どの位いるでしょうか?日頃使い慣れているので、ついついスマホで情報を得ようとするのではないでしょうか。でも場所によっては電波が届かない場合もありますし、そしてなによりも、スマホは緊急の連絡手段となるので、なるべくバッテリーを確保しておくことが大切です。


 問 題2   正 解:(ガソリンスタンド)
可燃性の危険物を取り扱っているガソリンスタンドは、消防法や建築基準法のもと、厳しい基準で建築されています。災害時、給油所の周囲で火事が発生しても、地下のガソリンタンクには引火しない構造で、一般住宅よりもはるかに強固な造りとなっています。身の安全を確保するという点において、ガソリンスタンドは非常に優れた避難場所といえます。皆さんもおぼえておいてください。


 問 題3   正 解:③(砂糖水)
ミルクが足りない時は、短期的には5%砂糖水でよいとされています。牛乳やスポーツドリンクは赤ちゃんが吸収しにくい成分も含まれていて、そのまま与えるのはあまり好ましくないそうです。しかし、砂糖水はあくまで、短期的な対応ですので、やはり赤ちゃんには早くミルクを確保してあげることが必要です。


さて、皆さん、いかがでしょうか? なんとなく意外な答えだったりしませんか? 
このようにクイズ形式で楽しみながら、防災知識を高めていくのも面白いのではないでしょうか。


《避難所運営ゲームHUG(ハグ)》

避難所運営ゲーム「HUG」は、災害時の避難所運営を考えるための1つの手法として、静岡県が2007年に開発した避難所疑似体験ゲームのことです。大規模災害による避難所の開設を想定し、避難者の年齢・性別・国籍や、それぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所となる体育館や教室に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また、避難所で起こる様々な問題(部屋割り、炊き出し の場所や仮設トイレの配置、要配慮者への配慮、視察や取材対応など)に、どう対応していくかを疑似体験する内容です。

避難所運営にかかわる立場だったら…
 適切な対応ができるでしょうか?

避難者カード1枚を1人の避難者人格として取り扱うことが大切なことです
「HUG」を経験された方はご存知だと思いますが、ゲーム内では、いろいろな事情を持った人びとが避難所に集まり、様々な問題への対応が求められます。
 例えば  ・犬や猫などのペットと一緒に避難してきた人
        ・認知症で寝たきりの高齢者
        ・外国人住民やたまたま被災した外国人旅行者
        ・心や身体になんらかの障がいのある人   など…

このゲームは一見、「いかに無駄なくスピーディーに避難者カードを避難場所に配置する」ことを目的にしているように見えますが、そうではありません。HUGは参加者の方が、ゲーム中の様々な出来事に対して、各々の意見を出し合い、実際の避難所運営に必要な課題に「気づく」ことで、今後の災害への備えに活かしていくことが、真の目的だといえます。

意見を交わすうちに新たな気づきがあります
最後に皆さんと記念撮影!


市民フォーラムおおさかでは、今後も、市民への防災・減災の啓発に努めるような取り組みを行ってまいります。今後の活動についても、当ブログでご紹介させていただきます。 (荒野)