社会福祉法人大阪市社会福祉協議会・大阪市ボランティア・市民活動センターのスタッフブログです。




2016年2月27日土曜日

社会の見え方が変わるボランティア・市民活動体験(2回目)の開催報告

2回目となる2月6日(土)は、「見えにくい“サイン”に応える活動」をテーマに、6人に1人は貧困世帯で暮らす子どもの実態や外国にルーツを持ち、言葉や文化の違いに悩む人、闘病生活を送る人など、当事者でないと実感しにくい生活上の困りごとに寄り添う活動団体をお招きしました。

西淀川子どもセンターの事例発表では、保護司を経験された西川さんが団地にパラソル1本立てて活動を始めたきっかけとなったのは、問題を起こしてから子どもたちに出会うのではなく、幼いうちから地域で見守る環境が必要だと痛感したためと語られました。
また、昨年ニュースアンカーで放映されたトシヤ君(仮称)との関わりをDVDで紹介。
大人はごまかすけれど、子どもは色々なサインを出してくれる。
自分の置かれた環境を問題と認識している子どもは少ないし、相談と掲げたことで別物になるけれど、自分のことを語れる場があったらいいのではないか。
素の自分を出せる場所が必要と力説されました。
最後に、ボランティアの仕組みに社会の谷間にある。
発言していくことの大切さにも触れられる時間となりました。

にほんごサポートひまわり会の事例発表では、平野区在住の外国籍住民(2013年7,520人)の内、韓国籍・朝鮮籍・中国籍の人が多いことを数値で説明されました。
代表の斎藤さんが活動に関わるきっかけになったのも、中国帰国者の家族から頼まれたことがきっかけだったとのこと。
言葉や文化の違いと言っても、外国にルーツを持つ人が具体的にどんなことで困っているのか、具体的な事例紹介をいただきました。
たとえば、ある程度日常生活で会話することができる人でも、勉強で使う日本語は違うというのです。

例)「隣の庭は広いが、うちの庭は(  )」←対義語でどう表現しますか?
…正解は“狭い”ですが、“小さい”と答える人もいます。
(感覚的に小さい、狭い、少ないものは全て小さいと認識している)

また、親は母国語を使うが、学校では日本語のため、家で学校の話ができないケースがあったり、介護の面でも、介護保険でヘルパーにしてほしいことを伝えられない(複雑な手続きや特殊な専門用語を通訳できない)といったこともあるそうです。
話を聞けば、なるほどと思えることでも、接する機会がないとなかなか気づけない問題だなと改めて感じました。

タオル帽子賛助会の事例発表では、ボランティア活動メニュー(松竹梅のお品書き)を元に活動紹介がありました。
「タオル帽子って何だろう?」と思われる参加者のために、サンプルを用意いただき、ミシンでは縫い目がきつくなり肌に触れる感触が痛いので1つ1つ手縫いで作成しているとこだわりをお話いただきました。
タオル帽子賛助会は、がん患者など薬の副作用や怪我等でタオル帽子を使っている人のために手縫いしたタオル帽子を国立大阪医療センターに寄贈されています。
午後からのボランティア活動体験では、参加者はタオル帽子づくりに挑戦しました。
普段は縫い物をした事がないという人も型紙に合わせて切ったり、縫ったり作業に集中し、2時間後無事に完成しました。

参加者からは、「人のために活動できるボランティアを体験できて良かったです」「シリーズで様々な活動の紹介が見たい」、さらに「1つの事を始めたら、そこから課題がたくさん見えてくるんだなあと思いました。
動くことによって活動が広がり人も集まってくるのだと思いました。2時間で3つの話、非常に中身は濃く、もっとじっくり聞きたい感じもしました」といった声がありました。

今回の講座は16人の参加がありましたが、なかなか接点のない多様な生活課題を持つ人の生活課題に触れ、一人一人自分たちに何ができるのか、真摯に受けとめる時間になったようです。