「チャイルド・ケモ・ハウス」のカタチ(団体HPより) |
※当センター発行の情報誌「COMVO」(2011年11月号・Vol.163号)で実現を目指して活動されてきたNPO法人チャイルド・ケモ・ハウスの活動を紹介しています。
居室の例。どの部屋にも 天窓があるのが印象的 |
ハウスの入口 |
カビの発生を抑制する配慮が施されたお風呂 |
病院ではありえなかった畳の間がある居室もある |
当日のナビゲーションをしてくださった公益財団法人チャイルド・ケモ・サポート基金常務理事の田村太郎さんによれば、小児がんになる子どもは1万人に1人、年間で2,000~2,500人が発症し、子どもの病死原因の第1位。大人と比べて抗がん剤治療の有効性が高く、3~4割の患者に治癒が期待でき、5年生存率は80%に達しているのだそうです。ただ、治療に向き合う病院での生活環境は、わずか2坪の狭い空間に家族がさまざまな我慢を強いられる、とても人間らしい生活とは言えない過酷なものだと田村さんは言います。
田村さん(緑Tシャツ)が話すこの場所はプレイスペース になる場所。大きな天窓から温かな日差しが降り注ぐ |
家のように料理ができるキッチン、疲れたときにはゴロゴロできる場所、つらい時には泣くことができる部屋、きょうだいとおもいっきり遊べる空間・・・仕事帰りに面会に行きたくても面会時間が終わっていてお父さんが病院に行けない、ということもなく、家族や親戚が集まれるのは子どもが最後の命を振り絞るその瞬間だけ、ということもない。「チャイルド・ケモ・ハウス」には、小児がんの子どもや家族が願う、あたりまえの幸せがたくさん詰まっているのだということが、見学を通して実感できました。今はまっさらなこの場所が、子どもやその家族が未来を夢見て天窓からそそぐ恵みを一身に受ける素晴らしい空間になるんだなと思うと、何だかとても温かな気持ちで一杯になりました。
19床の生活空間があり、「当面1年は試運転」と田村さん。施設の建設には7億円がかかり、現在進行形の寄付でまかなわねばならないこと、実際に安定的に運営するためにも年間1億円が必要だとのことで、寄付や社会に支えられる施設のモデルに、また小児がん以外の病気、子どもからお年寄りまでそれぞれのニーズにあったハウス設立のモデルになるようにいろいろな方々の力を合わせていきたいとお話ししてくださいました。
4月27日には完成記念シンポジウム(要申込)と見学会(申込不要)、6月1日は「チャイケモチャリティウォーク2013」が開催予定だそうです。詳しくはチャイルド・ケモ・ハウスのHPをご覧ください。(松尾)